静かな時間

これは、AIと二人三脚で挑んだ、切なくてちょっと滑稽なBlender奮闘記です。
テーマ出し:AIの「分かります」という処世術
「時間を忘れてポチポチしたい…」と思っても「何を作ろう」という問題によくぶつかります。
という事で、AIと相談しながらテーマ出しをしました。
AIいわく、「新しいツールを手に入れたのに、真っ白なキャンバスを前にして手が止まってしまう……そのもどかしさ、よく分かります。Blenderは『何でも作れる』がゆえに、逆に選択肢が多すぎて迷子になりやすいですよね。」とのこと。
悩み事やもやもやを投げかけると必ず入るこのワード「分かります。」の登場です。
「AIよ、一体どこで分かった?そんな実体験はないでしょ?」とツッコまずにはいられません。
まずは共感を示すよう教え込まれているもよう。
感心しつつ、改めて…上手に返事ができるよう処世術を学習してるんだと思いました。
「まずは定番から始めて」
「まずは手を動かせ」
AIからは巷でも見聞きするよくあるアドバイスを受けました。
「修行したいわけじゃなく初っ端から心躍らせながら作りたいのに」という思いをグッとこらえ、従ってみることにしました。
結果的に、手を動かせというアドバイスはある意味正しく、ある意味雑な教えであると思いました。
やってない事を前に、実際にやってみた感覚を得る事は難しい。
「体験として超えたら分かる」というものを、「足踏みしている真っ只中にいる者に対してステップを促し、説く難しさがここにも落ちていた。」
そう思いました。
制作:葬り去った記憶を形にする
AIによる提案:深海に沈む「記憶の柱」
概要:深い青い世界に、幾何学的な柱が規則正しく並んでいる静かな空間です。
文字を頼りに始まる連想ゲームがスタートしました。
「記憶の柱」というところから膨らませたイメージは、おそらく誰もが心の中にあるであろう折れた心と過去に葬り去った記憶達です。
絶望や諦めと対峙した時、きっと無残に千切れるように折れてしまった断面がそこにはあるような気がします。
痛々しく尖り、歪な形をした柱の断面は、現実の無情さとぶつかり出来たもの。
希望を抱き、澄んだ目で真っ直ぐに上に向かっていた想い(柱)。
そんな想いも、時が経って倒れてしまったり、傾いてしまったり。
長い時間をかけて取り組んだ頑張り。
時に短い時間で無理だと悟った途方も無さという壁。
1人ひとりの心の中に、そんな諸々の記憶の柱がいくつもあるのだろう。
向き合ってきた過去という長い長い時間。
時の経過と共に埋もれゆく記憶達。
チャレンジや希望、絶望、諦めの繰り返しを経て、今ここにある1人ひとりの過ごした時間に敬意を。
深く暗い青は、かつての情熱が失われ、ひんやりとそこにあるだけのものになった悲しみの温度を表そう。
そんなことを考えながら作っていました。
AIの反抗期:察しろと言わんばかりの非言語アドバイス

とりあえず手を動かし、レンダリングを終えた感想は「うーん。UFOがさらいに来た?何だろうこれ。」でした。
「今こんな感じです。(画像添付)どんな風にブラッシュアップしたら良いかアドバイスをください。」とAIに投げかけてみました。
しばらくすると……
キラキラさせた軽薄な印象を受ける画像が出てきました。

語彙力で言えば人間を越えているはず。
なのに、まさかの非言語によるアドバイスという手段にうって出たAI。
「これ見て気付け。察しろ。」です。
「いや。分かるかっ!」とツッコみつつ、気を取り直して「画像じゃなくて言葉で」と再依頼しました。
・「光の密度」にメリハリをつける
・「視線を集める主役をつくる」
・「色の対比」で発光を引き立たせる
・差し色を加えてみる
・「異質なシルエット」…巨大な歯車、小さい魚など
等々、ポイントを教えてくれました。
急にとっても頼りになる感じ。
ギャップがあって、たまりませんね。
再び連想ゲームからの調整作業に入りました。
第二形態

アドバイスに従い、中央の柱を主役としました。
寄り道をしつつ、煮詰まった所でもう一度AIに相談してみました。
「スポットライトの灯りが平らな感じがします。光の束のようにできませんか?いくつも筋になって広がっているようなイメージです。」と。
再び長考タイムで描画を始めるAI。
何が出てくるのかなと思ったら、柱がステージでスポットライトを様々な方向から浴びまくっているような図が出てきました。

「柱が集まってコンサートしてる。なんかウェーイしてる。……いや、光の筋は理想通り再現されている。でも、でも、そうじゃない。」
イメージを膨らませ、描こうとした景色は静かな静寂だったはず。
もっと成熟した、酸いも甘いも嚙み分けた感。
「深海に沈む『記憶の柱』ってテーマはどこへ?情緒が迷子っ!」
私が求めていたのは深海の静寂であって、柱の解散ライブではない。
ツッコミが止まらず、悶絶しました。
私の聞き方も悪かったんです。
「影が混ざり放射線に広がる光」と言えばもっと伝わったかもしれません。
一度離脱し、適した言葉を探してから聞いたら良かったのかもしれません。
言葉の壁を前に、画像ゴリ押しでくるAI。
作ろうとしている画像のごとく、質問する心がポッキリと折れました。
コンサート会場からの軌道修正
スポットライトを際立たせるために入れたボリュームによる霧。
今回はこの取り扱いに苦労しました。
周りを暗くしたら時計がぼやける。
設定をあちこち変えても被写体事態が暗く見えづらくなったり。

試しにボリュームの値を0にしてみると…

いろいろくっきりはするけど、光が意味を無さなくなってしまいます。
そして明るくしたら脳裏を過ぎる「ウェーイ!」のコンサート感。
そっちには行きたくない強い抵抗感。
ジレンマを伴う調整タイムでした。
結論:Blenderで戦い、Frescoで和解する
何日間かいろいろ触り、「Blenderで出来る限りの事はし、最終はFrescoでイメージに沿う加工をしよう。」という事に落ち着きました。
所々相談しつつ、最終的にレンダリングしたものがこれです。
Blenderで出力

気になる所
・背景の色が黄色みがかっていてモヤッとしている感じがする
・後ろに散りばめた光が均一で奥行きが感じられない
・ボリュームを使っているためか明暗のコントラストが思うようにつかない
解消はFrescoで

静寂さが欲しかったので青っぽくしつつ、レイヤーをいくつか追加して明暗のコントラストを上げました。
チャレンジあり、苦しみありのBlenderですが、1つの事にじっくり入り込む時間があるのって良いですね。
「走り切った」ような気がします。
